MBAで学ぶアントレプレナーシップ(2)

先日、MBAで学ぶアントレプレナーシップという記事を書いたのですが、今回は続編です。

 

「アントレプレナーシップ」という分野は、MBAで扱う学問としては比較的新しく、「ふわっとした抽象的な学問」というイメージが強い気がしています。「テック業界」「テクノロジー業界」というと尚更、抽象度は高まり、兎にも角にも米国スタートアップの最新事例のみを追いかけていればいい、そんな印象を持つ人も多い気がしています(というか、私自身は留学に来る前はそう思っていました)。

 

とはいえ、「テック業界」に身を置き、米国スタートアップの現場の最先端で仕事をしていく上では、あるいは米国以外の国・地域のテック企業で働くにしろ、1990年代末期から2000年代初頭のインターネットバブル(dot-com bubble)時代の事例への理解は欠かせません。実際、MBAでのアントレプレナーシップの授業では、2000年代初頭のテック企業の事例ついて数多くのケース・リーディング課題が課されます。

 

私の在籍するコーネルテックでは、アントレプレナーシップの授業で、2000年代初頭のケースの事例を数多くあたり、リーンスタートアップの考え方や、フリーミアムモデルの古典的な事例、Saasサブスクリプションモデルの事例などを復習していき、現代のスタートアップの事例にも適用して考えてみる、といった手法で授業が展開されます。

 

そこで、先日の記事で、英語の勉強をもっと頑張っておくべきだった、なんて呟いていたものの、もう一つだけMBA留学以前にしておくべきだったと後悔していることがあります。

渡辺千賀さんのブログを熟読しておくべきだった。

もうこの一言に尽きます。

 

渡辺千賀さんのブログの何が凄いかって、MBAで扱う米国スタートアップの事例・あるいはテック企業の事例のケース課題について、日本語のキーワードでググると必ずと言っていいほど、千賀さんのブログに遭遇するのです。そして、一番わかりやすい解説をされているのが、千賀さんのブログなのです。

 

MBAのケースを読んでいてわからない単語、たとえば、Liquidation Preferenceという専門用語に遭遇するとします。このLiquidation Preferenceという単語は、簡潔に言うと「会社を倒産・売却するときに、VCの取り分がどのくらいになるか」を示す単語なのですが、素人の私は初見の英文から素早く意味を推測できるはずもなく、とりあえず「Liquidation Preference とは」などのキーワードでググるわけです。そうすると、必ずと言っていいほど千賀さんのブログに遭遇する。。

 

こちらの記事です。

 

VC投資-liquidation preference

liquidationは「清算」だが、買収されたり、倒産したりして、会社がキャッシュに変わる瞬間を指す。そのときに、VCがどれくらい優位な(preferredな)条件でキャッシュを持っていくか、ということ。で、liquidation preference。昔は「最初に投資した金額、プラス年利X%の利息分」くらいをまずVCが取り、残りをファウンダーや社員も含めた全株主で分ける、というのが普通であった。

 

渡辺千賀さんのブログの何が凄いって、米国のテック業界の専門用語について、わかりやすい事例を追記して説明してくださっていること。本当に、中途半端な専門家の記事よりずっと分かりやすい。しかも、実はもうかれこれ15年前の記事なのに、全然内容が色褪せていないこと。本当に凄すぎる・・・!!!

 

渡辺千賀さんのお名前やブログの存在は、もちろん以前から存じ上げていて、いつの間にかメールマガジンまで配信していたのですが、つい最近まで、私は千賀さんのブログの凄さに気が付いていませんでした。(今までは私の知識が浅かったため、千賀さんのブログを拝見していても、その本当に凄さに気が付けていなかったのだと思います。)

 

ですので、もしこれから「アントレプレナーシップについて学びたい」といった理由でMBA進学を検討される方がいたら、まずは渡辺千賀さんのブログを読むことをお勧めしたいです。あるいは、すでにテック業界でお仕事されている方にも、やっぱり千賀さんのブログがお勧めです。正直、米国のスタートアップ事例については、千賀さんのブログを熟読さえしていれば、MBAのアントレの授業で学ぶことは凡そ網羅できるはずです。MBAってコストが高いし、知識を身につけるだけなら必要ないです。

 

そして、千賀さんのブログで更に凄いのは、購読しているPodcastという記事。私がいつも聴いているa16zというベンチャーキャピタルのポッドキャストもリストに挙がっていて嬉しいです。(MBAの先輩から、これだけは絶対聴いた方がいいって教えて貰って、それから毎日ひたすら聴き続けている。)

ちなみに、a16zは英語のスピードが速すぎて、1.0倍速で聴いているのに「ちょっと英語速くて難しいな」って最初は感じてしまっていた。でも、千賀さんのブログによると、シリコンバレーの人は早口なのだとか。ちょっと安心しました。