起業の経験について

起業しようと決めた一番の動機は、自由な働き方を実現したいと思ったことがきっかけだった。月並みな表現にはなってしまうけれど、時間や場所に捉われない働き方を、人生のできるだけ早い段階で実現したかった。

 

自分の中では明確な理由がある。子どもの頃から持病があって、20代の頃に大きな手術を経験していた。普段、自分から苦労話をするのは好きじゃないけれど、一度大きな手術をして、大変な経験をしてからずっと、「無理をせずに働く」ことを重視してきた。自分の病気と向き合い、自分の能力を最大限に活かせる環境を、自分で作っていきたいと考えていた。

 

もう一つ、大きな理由があった。社会人生活の早い段階で、ロンドン、香港と海外勤務を経験してきて、ヨーロッパの外資系企業ならではの「ワークライフバランスに優れすぎた素晴らしい労働環境」に思う存分、浸かってきてしまった。朝はゆっくりと出社して、ランチタイムでジムに行ったり、ズンバしたり。夕方は5時台に帰宅して、ゆっくり友だちとごはんに行ったり、自宅で読書に勤しんだり。今になって振り返ると、本当に運が良かった。

後から知ったことだけど、ヨーロッパの企業の中でも、スウェーデン企業は特にワークライフバランスが優れているらしい。そういえば、ヨーロッパの支社だけは男性でも育児休暇で6か月間の「有給」休暇が取れる制度があったな。。香港で働いていた時、周りの同僚がみんな羨ましがっていた。

 

そんな海外勤務を経験した後で、日本に帰ってきて、最初は起業準備をしながら会社員をしようと思っていた。ところが、一番の私にとっての障壁は、日本の労働環境にはもう馴染めなくなっていたことだった。日本育ちで完ドメ(注)の自分が、たかが4年くらい海外勤務を経験しただけで、カルチャーショックに悩むだなんて、自分でも鼻から笑ってしまうようなものだけど、本当に日本の労働環境に体が馴染めなくなっていた。

注:完全純ドメスティック日本人のことを、世間では「完ドメ」と言うらしい。最近知りました。

 

その結果、予定よりも早くにとにかく起業することになった。そして起業してからは、思いのほか事業が上手くいくことばかりだった。ブログで記事を書くにあたって、もっと起業の挫折経験についても色々記しておきたいと思ったものの、先日の記事に書いた以上の挫折経験は、実はそんなになかった気がする。。それだけ運が良かったし、何より本当に大切なクライアントに恵まれていた。

 

日本人の場合、私のようにMBA留学をする以前に起業していて、なおかつ、ある程度事業を軌道に乗せているケースは少ないと思うので、後進の人の参考になる情報を何か書ければと思ったけれど、思いつくアドバイスとか、泥臭い挫折経験はなかった。

 

一つ成功要因として挙げるとしたら、アダムグラントのOriginalsで紹介されている、起業家としての「ニッチ戦略」をひたすら忠実に実行してきたこと、が一番大きかったと思っている。(邦訳を読んでいないため、日本語版の本でどのように訳されているか確認していません。)

これまでのキャリアにおいても、起業してからのビジネスにおいても、「他人と違ったことや方法」にこだわってきた、というのはある。日本の大企業をわざわざ辞めて、海外就職を実現してきたことも、競争の激しい業界とか職種とかを目指すのではなく、他人と違うことで勝負したいと思ったのが大きかった。起業してからの自社のマーケティングについても、国内の競合を徹底的に調査して、他社がやっていない方法で、クライアントにリーチすることができた。だから、アダムグラントの本を読んだとき、自分の生き方を肯定してもらえた気がして、急にファンになってしまった。笑

 

起業してからは、なぜか大きな流れに後押しされているような何かがあって、自分でも驚くくらい物事が上手く進んでしまった。起業する以前に悩んでいた数か月という期間が、本当にちっぽけで、時間がもったいなかったとすら感じるようになっていた。

 

ちなみに当ブログは、MBA受験関連のキーワードで辿り着かれる方が多いのに、参考になる情報をうまく書けず恐縮ですが、結論としては、起業の決断も(留学の決断も)、大切なのは運とかタイミングだということ。ふと思いついたタイミングで流れに乗って、気が付いたらとんとん拍子で物事が上手く進んでいる。そんなタイミングが来るときに、挑戦してみるのがいいのだと、今は感じています。