私費MBAの働き方のトレンド

先日、MBAのアプリカントの方と話していて、「今後、デジタルマーケティング分野でキャリアを築くにはどのような点に注意すれば良いか」といった質問をされ、以下の3点についてアドバイスをした。(アドバイスという言い方をするのも、おこがましいのですが。。)

 

  1. データ分析のスキルを身につけること。特にSQL・Pythonといった最低限のプログラミング言語の知識は最低限必須。
  2. 業界のトレンドを押さえること。広告運用の細かな知識よりも、業界のトレンドを押さえ、時代の変化に対応できるようになること。
  3. リモートワーク、クロスファンクショナルな働き方に対応できるようになること。

 

そしてふと話し終わった後、「ああ、これって別にマーケティング分野に限ったことではないな」と思った。特に「リモートワーク、クロスファンクショナルな働き方に対応できるようになること」点について、今後どの職種であっても必須となるスキルなので、背景をまとめ直してみたいと思う。

 

米国MBAの(米国における)働き方のトレンド

米国では、働き方や組織改革という意味では多分日本より10年分くらい進んでいて、企業で働く人にとっても、リモートワークが今は主流になっている。パートナーの仕事都合で、米国内の他の都市に引っ越すことになったタイミングで、勤務先の会社でリモートワークに切り替えて貰った、なんて話は本当に良く聞く。

私の大好きなアダム・グラントも、Work From Homeの制度を取り入れると、13%生産性が向上すると主張している。近年のGig Economyの普及の結果、副業する人・独立する人が、一気に増えている。そして、一番幸福度の高い職業はEntrepreneurつまり起業家であるという。要は、独立して自分で裁量のある働き方を選ぶ人が急速に増えているのだ。

また、MBAのストラテジーの授業でも、Zapposで取り入られているようなHolacracyといったマネジメント論についてケースやリーディングで時間をかけて扱った。MBAの授業って、もっと陳腐化した知識ばかりを教えられるようなイメージだったから、意外と最新の業界動向などが扱われている点は感心したものだった。(教授の努力なのか、コーネルMBAの努力なのかはわからない。)

 

ホラクラシー

 

それから暫くして、米国での就職活動を意識するようになってから気づいたけれど、企業の求人情報を見ていても、Are you familiar with Holacracy? のような質問事項がジョブディスクリプションに入っていたりする。。これは驚きだった。つまり、「フレキシビルな働き方」へのニーズが一気に高まっているように思う。

そして、以前の記事にも書いたことだけれど、女性の場合は特に「待遇よりもフレキシビリティ」を重視して就職活動をする人が本当に多い(あるいは起業する人も多い)。。MBA直後の就職活動であっても、である。

会社員として就職する場合であっても、たとえばコーネルMBAの場合は、「アマゾンから内定を貰ったけれど、本社のシアトル勤務ではなく、交渉してニューヨーク勤務にしてもらった」なんていう話は本当にいろいろな人から良く聞く話だ(コーネル卒業生はニューヨーク大好き人間が多い)。要は、交渉次第で会社員であってもフレキシブルな働き方ができるのだ。

 

テック業界におけるプロダクトマネージャーの流行

米国で今、プロダクトマネージャーという職種が流行っていることは、このブログでも度々お伝えしている通りで、「プロダクトマネージャー」という裁量の広い職種が米国MBA生の中では本当に流行している。一番多いのは、将来起業をめざしている20代半ばから後半くらいの学生が、「プロダクトマネージャーを経て、将来いつか起業を」とめざすケース。

ただ、プロダクトマネージャーという職種がここまで流行しているのも、時代のニーズの結果、というのが正しい気がしている。リモートワークが普及する中で、技術面も理解できる、裁量の広い業務をこなせる人材へのニーズが高まった結果、プロダクトマネージャーという職種の人気が高まっている気がしている(ちなみに言うと、プロダクトマネージャー以外の職種も、広い裁量が求められる傾向が断然高まっていると思う)。

 

Gig Economyとは

一方、Gig Economyでは、アメリカ人の就労者のうち35%はフリーランスであるとしていて、その結果、フリーランスで働く人たちの賃金の急落といった弊害もあると指摘している。特に、物価の高いサンフランシスコ近郊では、UberやLyftのドライバーの賃金が下落していることが社会問題になっているという。

そういえば、今月サンフランシスコに行ったとき、Uberの価格の安さに本当に驚いた。ニューヨークだったら、軽く10ドルはかかるだろうなと思う距離を、サンフランシスコではたった3~4ドルで移動できてしまうのだ。ベイエリアって何でも物価が高いイメージだったのに、衝撃だった。これがきっと、Gig Economyの結果なのだろう。

 

※余談ですが、このThe Bayというポッドキャスト、ベイエリアの人たちの早口アメリカ英語に慣れるのにとても良いです。一回分の時間の短くてちょうどよいです(10~20分くらい)。

※Gig Economyという考え方が話題になったのは、2年近く前のよう。HBRのWho Wins in the Gig Economy, and Who Loses が、おそらく一番わかりやすい記事。でも私がGig Economyを実際に体感するようになったのは、米国にきてからだった。日本にいた頃はピンと来なかった。自分で独立していて、フリーランスとしても仕事を請け負っていたのに。。

 

当ブログでお伝えしたいこと

さて、なぜこのような記事を書いたかというと、米国MBAの最新の動向を伝えたいと思ったから。日本の世の中には、「米国MBAなんて時代遅れ」だとか、「30代から私費で留学するなんて無謀だ」のような、良く分からない批判をする人たちもいるけれど、ほとんどの批判は、最新の米国MBAのトレンドや、最新の米国MBA生の就職活動に対する考え方をまるで理解していないものだということ。

これから米国MBAを検討される方へ、ポジティブな面も色々あること、学び続けることの素晴らしさを、前向きにお伝えしたいと思いました。私費生にとっては、米国トップスクールMBAへの入学自体が狭き門になりつつある一方、私個人は、巷で批判されているほど米国MBAは悪い選択肢ではなく、目的意識がしっかりしていれば、まだまだ素晴らしい選択肢だと思っています。どなたかの参考になれば幸いです。