ロールモデル

ロールモデルという言葉が適切かどうか分からないけれど、「人としてこうありたい」という意味で、もう何年も前から、ずっと憧れている人がいる。

でもそれは、キャリア・仕事におけるロールモデルとは違う、もっと純粋に人として「こういう人格で、こういう生き方の人って憧れる」という、どこかぼんやりとした憧れの感情だった。

 

5年前、香港で働いていた当時の同僚(中国系アメリカ人女性)は、今でも私の心の中にいて、「こういう時、彼女だったらどのように振舞っているだろう」って思いだすことがある。

彼女は、学部もアイビーリーグ出身で、MBAもみんなが羨ましがるようなトップ校を出ていた。輝かしいキャリア・経歴で、旦那さんも本当に素敵な人で、私が羨ましいと思うもの全てを持っていた。それでいて、何一つひけらかしたり、鼻にかけたりするような部分がなく、誰にでも分け隔てなく接する人柄だったから、本当に多くの人から信頼を集めていた。

そんな彼女だったから、もうずっと何年も心の中で憧れていた。

今なら分かる。一番努力が必要な部分は、部下や後輩、経営陣から信頼を勝ち得るようなヒューマンスキルであったり、「人として魅力的」と周囲から思ってもらえるような人間性だったりする。周りから見ても誰もが羨ましいと思うパートナーシップとかも、きっと本当に努力の賜物なのだと、今なら思う。

 

最近つくづく感じることは、ハードスキル(ファイナンス、プログラミングの技術など)や地頭の良さ、英語力の高低などの「個人としての優秀さ」で他人と競い合って、それだけで周囲から高評価を得られるのって、せいぜい20代までだということ。

個人としてのハードスキルという意味で優秀な人や、頭が良いだけの人って世の中に溢れていて、でもそれだけで周囲からの信頼を得られるほど、組織や人は簡単に動いてはくれない。MBAなんか、ただの学位でしかない。お金を払ってちょっと勉強さえすれば、誰でも入れるものだから。そんな当たり前のことは、遥か昔に上司から言われていたけれど、自分が20代の頃は、そうした言葉も、本当の意味では頭に入っていなかった。

 

ふと一人になって、考え事をしたとき、彼女にはまだまだ追いつけていない自分に気がつき、反省の気持ちに耽ってしまう。そんな夜も、ある。

 

※ちなみに、ネットから適当に拾った写真は、香港タイムズスクエア。今までの人生で、六本木ヒルズやアークヒルズで働いたこともあったけれど、やっぱり香港タイムズスクエアでの勤務時代が、いちばん社会人生活で濃いものだったし、今振り返っても誇りに感じる。。本当に素晴らしい環境だった。