The Language of Global Success

The Language of Global Success: How a Common Tongue Transforms Multinational Organizations (English Edition) という本を読んでいる。著者のTsedal Neeleyは、HBSの教授で、Thinkers50にも選出されている著名人。

彼女の本や記事では、lingua francaとして、つまり英語が母国語ではない人たちが、どのように英語でのコミュニケーション環境下でビジネスを遂行するか、をテーマに描かれている。

先日、授業のゲストスピーカーに来ていたスタートアップ創業者の方に、起業プランの相談をしていたところ、「Harvardの教授で、日本の事例を研究してる人がいるから、会ってみてアドバイス貰ったら?」と紹介を受けたのが、彼女だった。

 

本では、日本の楽天のグローバル化について描かれている。特に印象的なのは、英語がネイティブではない日本人社員が努力して英語を習得し、英語を公用語として用いるようになってから、より効率的に日本企業のカルチャーを海外支社に浸透させられるようになった、という点。

当初は偉そうにしていた米国支社のアメリカ人社員も、日本人社員が英語を習得するにつれ、だんだん相対的な立場が弱くなっていき、日本本社のカルチャーを受け入れざるを得なくなっていったそう。著者自身が楽天の英語公用語化の取り組みを、高く評価している点も印象的だった。

日本語のメディアだと、楽天の英語公用化については、失敗談とか批判が取り上げられることの方が多い印象を受けるのに、海外でこんなにポジティブに評価されているなんて知らなかった。それなのに、彼女の本が日本で全然有名になっていないのがとても残念。。

 

※ちなみに、日本語版もすでに出版されているのを発見。しかし、英語が楽天を変えたというタイトルがミスリーディングなこともあり、流行に至っていない様子。

 

以前、ロンドンで働いていた時、ずっと愛読していたのがErin MeyerのThe Culture Map (INTL ED): Decoding How People Think, Lead, and Get Things Done Across Cultures だった。ロンドンの本社部門で勤務していた当時、上司はスウェーデン人で、所属部門は完全にヨーロッパのカルチャーだった。それなのに、同じ会社でも日本支社はドメスティックな日本風土で、常に両者からの板挟み状態で、苦労していた。

Erin Meyerは、本やポッドキャストで、国籍・出身地ごとのビジネスの現場におけるコミュニケーションの違いを細かく解説している。たとえば、日本人と中国人はぱっと見同じアジア人であっても、日本人はきっちりルールを守ることを重視する一方、中国人は臨機応変なフレキシビリティを重視するよね、といったこと。

 

Tsedal Neeleyは今後、Erin Meyerに次いで、日本でも有名になるだろうと思う。そのくらい日本人にとっても、彼女の本から学ぶことが多い。HBRの記事、How to Successfully Work Across Countries, Languages, and Cultures と動画についても紹介しておきます。

 

Tsedal Neeley

Harvard Business Reviewの動画はこちらへ。

 

ちなみにHBRの記事や動画では、グローバル環境下でビジネスを遂行するためには、Positive Indifference が重要だと説いている。Positive Indifference というのは、良い意味で、文化の違いについて無頓着であること、細かな文化の違いについて「それはビジネスの本質ではない」と捉え、異文化に対しオープンでいること、といったニュアンス。

私はこの考え方が結構好きだ。というのも、冷静になってみたら Positive Indifference が重要というのは当然のように思えるけれど、実際のビジネスの現場では、ついイライラしてしまう場面が多数あるわけなので。(例:インド人はミィーティングにいつも遅れてくるし、ただ数学が得意で頭良いだけなのに、なぜあんなに偉そうな態度なのか、等)

 

しかし、Harvard Business Reviewって本当に素晴らしい教材。こうして改めて動画を見てみると、世界中誰でも学べるように、ゆっくり明瞭な英語で話してくれているのが分かる。

実際のビジネススクールの授業では、授業中にアメリカ人学生が超早口英語で質問し出したりして、日本人留学生にとっては「えっ、今何言ってるのか聴きとれなかった・・・」みたいな場面もままあるのですが、HBR.orgはその点、本当に親切な教材だと感じます。