新しい世界

新しい世界を探していた。

それは、誰かが敷いたレールをひたすら追いかける生き方ではなく、ほかの誰もが見つけられない、自分の道を切り拓くスタート地点に立つということだった。

洗いざらいを捨てて、新しい環境で輝く。そんな決意を今は、ただ忘れないようにしようと思った。

 

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昔、池澤夏樹の本で『すばらしい新世界』という本があって、それは、ある日突然、家族で仕事を捨てて、ヒマラヤへ飛び立つ物語だった。中学生だったか、高校生だったかの頃に好きだった本。

今の私の心境は、ヒマラヤへ飛び立つ、あの日の若い家族に似ている。日本の常識や、世界の常識に捉われず、ひたすら自由に決断して行動していく、そんな生き方に憧れて、ずっとそんな物語ばかりを読んでいた。

そしていつしか大人になっていて、気が付けば昔憧れていた生き方を実現できていた。初めて香港の会社に転職しようと決めた日、外国の会社で働いて、ロンドンで働いてみようと決めた日。私はいつも、自分の意思で決断してきた。

誰かが私のことを貶しても、それはもう気にする必要のないことだった。

 

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過去への後悔がありすぎて、前に進めない時があった。

たとえば、私が最初に海外で働くと決断したのは、25歳の時で、それを後から振り返るともっと早く決断すれば良かったと後悔していた。

昔日本で働いていた勤務先は、今振り返ると信じられない男性社会で、そのような組織で時間を潰してしまった最初の社会人数年間が、今となっては勿体ない時間だったと思う。けれども若い時は、そんな当然のことに、気づくことすらできずにいた。

けれども今は、過去に私のことを「若い女性だから」といった理由で見下していた人たちの誰よりも、多くのものを手に入れている自信がある。

 

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ニューヨークでベンチャーキャピタルの世界に飛び込み、数多くの女性起業家に会ってきた。そこで私は、いつかニューヨークで自分で事業を興し、時間はかかっても大成できるという確信を得た。それは、MBAに来る以前は思いつきもしない収穫だった。

時間はかかっても、確実に成し遂げようと、自分自身に約束をした。

 

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学びたいこと、仕事にすることが明確になった今は、心からゆとりを持ち、自分の人生を大切にする。周りにいる人たちを大切にする。

そして、新しい世界で、誰よりも輝く。

そんな当たり前の今の生活を、納得して一歩ずつ進んでいこうと思った。