現実

現実に向き合わなくてはならない時がある。

 

それは、大切な何かを手放すと決めた時だった。

 

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最近、MBAクラスメイトの女子の一人が、母国へ帰る決断をした。米国での就職活動の厳しさに直面し、米国での就職を断念し、母国へ帰るという決断だった。

時折、ネットの情報などで、「インド人や中国人はMBA卒業後に米国で就職している人が多数いるのに、なぜ日本人にはそれが難しいのか(日本人の英語力などの問題か?)」といった議論を見かけることがある。

そうした議論を目にする度、逐一反論することはしないし、そのような暇もないけれども、大抵の議論は、MBAの本質も実態も何も的を得ていないと感じる。

 

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要は、米国MBAに来ているインド人や中国人は、単に人数が多いのだ。私が学んだコーネルテックは、クラスサイズが小さいものの、日本人が私一人に対し、インド人はクラスに十人ほどいた。中国人も次いで多かった。

Cornell の2年制MBAでは、一学年300人中50人くらいが中国人だろうか(日本人は1名程度)。そして2年制MBAでも、MBA卒業の5月時点では、留学生の約半数は米国での就職先が決まっていない(US国籍保持者は別)。

全員が全員、米国での就職活動に成功している訳ではない。米国で就職を決めている人の中にも、待遇等を妥協すると腹を括って決めている人も多い。

 

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そして、留学生の就職活動の中でも、特に女性が厳しい。

テック大手などのダイバーシティを謳う米国企業も、米国人女性の採用には積極的である一方、留学生の女性の採用までは、手が回らないのが現状のようだ。

「私くらいの『スペック』の人材は、米国では溢れているから仕方ないよね」なんて、GMATエリートたちが、ひたすら溜め息をつく様子を、傍から見るのも何だか切ない。

学業では男性よりも何倍も努力してきた人たちが、就職活動で現実に直面することになる。

 

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最初の目標や、憧れを「手放す」決断をすることには覚悟が要る。

けれども、その決断の先に、きっと新しい生活があり、昔であれば考えもしなかった別の形での成功やチャンスが、どこかで待っている気がする。