スタートアップにおけるジェンダー格差

近年、ベンチャーキャピタル関連の仕事をしている友人たちから、「日本国内のスタートアップでは、この数年で給与水準が大きく上がっている」といった話を聴くことがある。
 
確かに、以前に比べて日本のスタートアップ界隈では労働環境が改善されている印象を受けており、最近では在宅勤務などの働き方のフレキシビリティをアピールする企業も増えている。それに伴い、女性の雇用機会もかつてに比べれば、大きく広がっているかの印象を受ける。
 
けれども、このような状況に落とし穴があることに、多くの人が気づいていない気がする。
 
 
 
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私が日本に本帰国してから驚いたことの一つは、ジェンダー格差について論じられるイベント・機会が、日本では米国に比べて圧倒的に少ない(というか、殆どない)ということだった。
 
要は、経営陣や要職に就く人の割合は依然として男性が圧倒的多数を占めるし、誰もがそれを当たり前であるかのように受け入れているため、ジェンダー格差について議論がなされていない。
 
働き方のフレキシビリティを謳っている企業や、社員の女性比率が高いことをアピールしている企業も、いざ蓋を開けてみると、男女間での給与格差には大きな開きがあるのが現状であったり、アシスタント職の人数で女性比率を引き上げているだけの企業(要職に就いているのは殆ど男性)という事例も多数ある。
 
 
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どうしてもっと、男女間の給与格差是正について異を唱える人が少ないのだろうと思う。
 
たとえば、米国の事例ではUberの元社員・Susan Fowler(スーザン・ファウラー)氏が当時25歳にして、ブログでUberの男女格差の現状について、内部告発したことで有名だ。
(そして、この事件以降、Uberでは国籍・年齢・ジェンダーの多様性が重視されるようになったことも有名である。)
 
私が思うのは、日本人女性は自己評価が低すぎる人が多いのではないか、ということ。たとえば、給与額が同職に就く男性社員よりも低いものであるとしても、「私は育児・家庭と両立させてもらっているから、雇用機会を頂けるだけで有難いこと。だって、親世代の時は女性の雇用機会がそもそもなかったのだから。」
 
という風に、低すぎる自己評価をもってして、現状を打破しようとしない人が多いのではないかと思っている。
 
 
それは、アダムグラントが著書・ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代において、低所得者層にいる人々が、「努力によって格差を是正できることはない」という固定観念を抱いている人が多い傾向にある(だから、結局のところ努力をせずに低所得者層に留まる人が多い)と調査結果を明らかにしたことに似ている。
 
 
また、日本人女性の場合、給与額について他人に聞くことに遠慮してしまい、男性のPeer Networkを求めて情報収集を行う、という姿勢が殆どないような気がする。だから、格差社会の中で自身が大きな被害を被っているにも関わらず、その事実にすら気が付く人がいない、というのが現状なのではないか。。
 
 
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日本人の女性リーダーを育てていく活動を、今後長期間にかけて取り組んでいきたい活動の一つとして考えている。